【小説】サイロンの光と影(グイン・サーガ121)
著者:栗本薫
初版発行:2008年6月15日
英語タイトル:A FOUL FLOWER (GUIN SAGA 121)
≪古代機械によって記憶を「修正」されたグインは、自分がケイロニアの豹頭王であることを思い出したが、逆に、パロの内乱前後からの最近の記憶がなくなってしまった。
あれほど可愛がっていたスーティのことまで忘れてしまっていた。
それはフロリーに、ミロク教の聖地ヤガへの旅立ちを促すようでもあった。
そしてグインは忠実な臣下の迎えを得て帰国する。
しかし彼を待ち受けていたのは、必ずしも歓喜の声だけではなかった。≫第1話 帰国
第2話 歓喜のサイロン
第3話 腐臭
第4話 審問
≪アキレウス大帝が復活≫
どうやらグインの長期の不在に精神的に参ってしまって病気になっていたアキレウス大帝――精神的なものが原因とはいえ、一時は崩御の可能性すらあったほどの衰弱ぶりであった――が、グインのケイロニア帰還とともにみるみる回復していった。
≪病は気から≫ということなのだろうが、それにしても極端な話だ。
第64代ケイロニア皇帝、≪獅子心皇帝≫アキレウス・ケイロニウス大帝が、グイン失踪の心労から、ほとんどボケ老人のようになってしまっていたのだというのだから。
しかし、≪流れゆく雲≫(グイン・サーガ107)の段階では、アキレウス大帝の心痛の種はいささか大きかったものの、頭脳の方はかなりしっかりしていた印象だったんだけどなあ。
シルヴィア王妃の不貞な行為について、グインがそのことを知ってケイロニアに帰って来られないのではないかとか、そのことをハゾスと一緒に悩んだりとかね。
≪ケイロニアの12神将≫
今回、改めて紹介があったので、現時点での将軍名をまとめておく。
黒竜将軍トール――言わずと知れたグインの腹心。
金犬将軍ゼノン――ケイロニアが誇る若き英雄。
巨象将軍ホルムシウス――12神将の最長老。
金羊将軍ダラス――最近、昇進したらしい。
白虎将軍アダン
白蛇将軍ダルヴァン
飛燕将軍ファイオス
金狼将軍アルマリオン
金猿将軍ドルファン
白鯨将軍ゴラン
金鷹将軍ユーロン
銀狐将軍ブラント
こうしてみると、金×5隊、白×3隊、黒・巨・飛・銀×1隊という構成で、≪金≫が一番人気なんだね。
ちなみに≪豹頭将軍の帰還≫(グイン・サーガ68)に登場する12神将も紹介しておこう。
黒竜将軍グイン――人物が変わっている。グインは王に即位。
金犬将軍ゼノン
白象将軍ゴラン――役職名も代わり、人物も変わっている。
白虎将軍アダン
千蛇将軍ダルヴァン
飛燕将軍ファイオス
金狼将軍アルマリオン――12神将の最長老……ちょっと待て、この設定は変だ!
金猿将軍マイラス――人物が変わっている。引退した?
8将軍しか確認できなかったのは私の見落としもあるかも知れない。
人や役職名が変わっているのはともかく、≪12神将の最長老≫が変わるのはさすがに変だ。
≪サイロンの光と影≫時点でも金狼将軍アルマリオンが現役なのに、その上に急に巨象将軍ホルムシウスが存在しているのは明らかに矛盾だろう。
ちなみにさらに遡って≪サイロンの悪霊≫(グイン・サーガ18)に以下の将軍が登場している。
黒竜将軍(千竜将軍)ダルシウス
千犬将軍ゼノン
白虎将軍アダン
千蛇将軍ダルヴァン
飛燕将軍ファイオス
金狼将軍アルマリオン
この当時はダルシウスが最長老なのかな? はっきりとした記述は見つからないけど。
ちなみに≪黒竜将軍≫と≪千竜将軍≫はどちらも間違いではない。(参照:≪サイロンの悪霊≫13ページ)
これから類するするに、≪千犬将軍≫、≪千蛇将軍≫も間違いではないと思われる。
しかし≪巨象将軍≫と≪白象将軍≫はいかがなものか?
≪シルヴィア王妃出産の衝撃≫
さて、ようやくケイロニアに帰り着いたグインを待ち構えていたものは、王妃シルヴィアが誰の子とも分からぬ子供を出産するという恐ろしい現実であった。
かつてアモンの黒魔道の術≪夢の回廊≫――あるいは≪ヒプノスの回廊≫――により、グインが≪夢≫でシルヴィアと出会ったことがあった。
この時、グインはシルヴィアを、アモンの魔道により作り出された偽物と誤解して、スナフキンの魔剣で切り捨てようとしてしまったのだ。(参照:≪恐怖の霧≫(グイン・サーガ90))
しかし、≪夢の回廊≫とは言え、それは実際のシルヴィア本人であったため、シルヴィアはかなり心に傷を負ってしまっていたのだ。
そしてグインの愛を不信し始め、かつての宣言通り、身も知らぬ男たちに自分の身を任せるという淫蕩の道に堕落していってしまっていたのだ。
グインがシルヴィアに再会した時点ではまだ出産前でお腹の大きくなった状態であったが、あまりの衝撃に自らどう対処して良いか分からず、すべてを親友たるハゾスに相談し、対処を一任してしまった。……これはグインにとって、致命的に間違った選択であったと思う。――――ハゾスはその潔癖で高潔な性格と素晴らしい行動力を持つ有能な人物である一方で、病的なまでに自虐的で弱い心を持ったシルヴィアを本当の意味で理解することはできない人物であったのだから。
ともあれ、こうして≪混沌(カオス)の時代≫に記されているように、『ケイロニアにいったん破滅をもたらすにいたった≪売国妃≫シルウィア』が段々と成就してゆくことになるのだろう。――――ちなみに≪シルウィア≫とは≪シルヴィア≫のこと。誤植ではなく、≪古名?≫であるらしい。(参照:≪三人の放浪者≫289ページ)
≪闘病生活の中での執筆活動≫
栗本先生も、あとがきが119巻以来、『病気の近況報告欄』と化していることを少し気にされている様子ではありますが、≪アルバムみたいに書き留めて≫いくスタイルは続けていくとも述べられている。
そして、『すい頭十二指腸切除手術』以降、抗ガン剤の治療を続けられているそうだ。
2008年5月4日付けの、このあとがきを書いているのは自宅療養中だそうだが、≪もっとシビアに優先順位をつけて、出来ることと出来ないこと、やりたいこととやりたくないことを峻別してゆかなくてはならない、そういう時期にきたんだろうな≫という言葉が心に響く。
私も正直、自分にとって本質的でないことのために多くの時間を費やしていると思う。
≪本当に大切なこと≫は何なのかを自分自身、はっきりさせることが必要なのだとは感じている。
この記事を気に入ってもらえたらクリックをお願いします!
にほんブログ村
« 【小説】旅立つマリニア(グイン・サーガ120) | トップページ | 【小説】豹頭王の苦悩(グイン・サーガ122) »
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/576836/53745712
この記事へのトラックバック一覧です: 【小説】サイロンの光と影(グイン・サーガ121):
« 【小説】旅立つマリニア(グイン・サーガ120) | トップページ | 【小説】豹頭王の苦悩(グイン・サーガ122) »

コメント